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コール・ポーターの生涯を描くミュージカル『Red Hot and COLE』 彩吹真央、彩乃かなみインタビュー!

「Night and Day」など、数多くのミュージカル曲を手掛けた米国の作詞作曲家コール・ポーター。彼の名前を知らなくても曲を聞けば「ああ、この曲か!」と思う人も少なくないだろう。

ブロードウェイで活躍し、米国のポピュラー音楽史に足跡を残したソングライターにスポットを当てる「ブロードウェイ・ショウケース」シリーズ。第3弾となるミュージカル『Red Hot and COLE』に宝塚歌劇団の元男役スター彩吹真央さんと元月組娘役トップの彩乃かなみさんが出演する。宝塚退団後も何度か共演している二人だが、宝塚在団中のことや退団してからのこと、本作品への意気込みについて語っていただいた。

 ――お二人は昨年ミュージカル『マリー・アントワネット』で共演されていると思いますが、再度共演が決まったお気持ちを聞かせてください。

彩吹:『マリー・アントワネット』は昨年の夏に始まってから、ほぼ半年間ぐらいのミュージカルでした。みほこ(彩乃さんの愛称)とは楽屋が隣だったり同じ部屋だったりして一緒にいる時間が長かったので、宝塚時代よりもみほこの本質というか、より魅力を感じることができてうれしい期間でした。それを経て今回再度共演するので、全然違う作品の中でまた楽しめるのがうれしいです。

――宝塚時代は組が違っていたと思いますが……?

彩吹:彼女の初舞台が雪組で当時私は雪組でしたし、その後お互いに花組配属になったので、新人公演などを数年間一緒にやりました。私は当時男役だったので、男役の上級生という感覚で女役の彩乃かなみを見ていましたが、今はその時の視線とは全然違いますね。

彩乃:私は宝塚歌劇団に入って何もできない頃に、結構近くでゆみこさん(彩吹さんの愛称)とご一緒に新人公演やバウホール公演をやらせていただきました。その後は組が離れてしまって「お元気ですか?」と言うぐらいの面識にとどまっていたのが、退団してからは『マリー・アントワネット』などで共演させていただく機会に恵まれました。

舞台だけじゃなく、私の感情の吐露を聞いていただいたりすることもあります。以前は私も男役さんの上級生と思っていたところが、今は相談できるお姉さんという感じがして、わりとゆみこさんには本音をしゃべっているのではないか、言い過ぎているのではないかと思う時もあるんですけれど……(笑)。私が言うことではないかもしれませんが、ゆみこさんはとても優しいですが、大事なところではビシッと決める緩急のある方なので、とても頼りになる心強い存在です。

彩吹:もしそれが本音だったらすごくうれしいですね。私、4人きょうだいの末っ子なので、みほこは妹みたいな感じがしますね。

――今回の役どころについてお聞かせいただけますか?

彩吹:私は複数の役を演じさせていただきますが、その中でも主な役が3つあります。一つがパリのジャズシンガーであり、クラブを経営しているブリックトップです。この役を自分の中ではキャラクターとして立たせたいなと思っています。他にはゴシップコラムニストのヘッダ、コール・ポーターの代表作『キス・ミー・ケイト』の脚本を書いたベラ・スペワックです。

それこそ役ごとに国籍も違いますから、一つの作品の中で見た目はもちろんのこと、声質を変えたりして芝居や歌のパフォーマンスを全色変えたいというところに挑戦をしています。もともと20人ぐらいでやっていた作品を今回は8人でやるという状況なので、そういう意味では出演者全員がチャレンジしつつ、楽しむところまでいきつけたらいいのかもしれないですね。

彩乃:私はリンダといって、コール・ポーターの妻の役が主となります。ただその中でも「この時代にこのショーをやりました」と説明するシーンがあります。衣裳を着替えたりすることなく自然にその世界へ入っていくシチュエーションが結構ありますので、役を演じている部分とそうでない部分の差がどう見えてくるのかなというのが、今模索しながら挑戦をしているところです。

――一人の役者さんがいろいろな役に挑戦するところを観るのはとても楽しみです。作品全体の見どころはどういうところだと思いますか?

彩吹:コール・ポーターの生涯をコールの曲だけでお届けするという意味では、音楽の力が最大級です。まさに楽曲ありき、コール・ポーターありきの作品だと思います。皆さんがきっと聞いたことがある曲がたくさん出てくると思いますよ。

人それぞれ思いはあると思いますが、コール・ポーターの良さというのはジャズやシャンソンも作っているので同じ曲調じゃないのに、どの曲にもコール・ポーターの良さがしみついているところです。私は本当に大好きなんです。コール・ポーターの曲だけでお届けする舞台というのはすごく贅沢だとこのオファーをいただいた時に一番に思ったので、そこを楽しんでいただきたいなと思っています。

彩乃:おそらく「これもコール・ポーターの曲だったんだ」というのが、お客様がご覧になっていく中であると思います。観ていただくことで、生活の中でこんなにコール・ポーターの曲にふれているんだというのを分かっていただけると思いますし、時代を超えても廃れていかない、人の心に残る楽曲が見どころだと思います。曲は知っていても、どういう人だったんだろうというのをご存じない方もいらっしゃると思うので、楽曲に乗せてコール・ポーターの生涯を知っていただくことで楽しんでいただけたらと思います。

――彩吹さんから、コール・ポーターの曲が大好きというお話がありました。宝塚でもコール・ポーターの曲をたくさん使っていたと思いますが、好きな1曲をあげるとしたら何ですか?

彩吹:私はライブで必ずといっていいほど、コール・ポーターの曲を入れています。コール・ポーターを好きになったきっかけが宝塚で上演された『キス・ミー・ケイト』を観たことなので『キス・ミー・ケイト』の楽曲は全部好きですね。本当に素敵な曲ばかりです。

彩乃:私はどれも好きなんですけど、今パッと浮かぶのが、『キス・ミー・ケイト』の中の「ソー・イン・ラブ」です。あの甘さって、なかなかでないと思います。誰が歌っても違う雰囲気になるし、でも甘さは必ず残るところがすごいなあって。難しいメロディーではないですけれど、そぎ落とされた中に美しさがあると思います。

――今回の舞台への意気込みを含めて、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

 彩吹:私は一つの作品で複数の役をする経験が何度かあったのですが、そのたびにやっていて本当に楽しいなと思うのですが、自分が楽しいからといってお客様も楽しいという方程式ではないと思うんです。この作品の中で、コール・ポーターに携わった人、コール・ポーターと互いに影響を与え合った人物として存在したいなと思っています。

登場するほとんどの人物が実在していましたので、キャラクターを変えることに専念するだけではなく、コールに携わっていた人たち、時代を経て音楽の歴史を作った人にはどんな人がいて、それが博品館劇場で蘇ってきたねと言われるぐらい、その人たちを蘇らせたいと思っています。

今回出てくる人たちは、もしかしたら米国やフランスなどではすごく有名な方々かもしれませんが、日本人にとっては調べないと分からない人たちだと思います。でもひも解いていくと本当に素敵な方たちばかりなので、ぜひこの機会にエンターテインメントを作った人たち、コール・ポーターに影響力を与えた人だということを、真実味をおびた人物としてお伝えできたらこの作品の深みが出るんじゃないかなと思っています。

また今回は、シーンによって米国、イタリア、フランスと舞台が変わっていく中で、コール・ポーターの曲に酔いしれながら、最終的にはいい旅行をしたなと思っていただけると旅行好きの私としては一番ですし、上質な舞台になるのではないかと思います。

彩乃:この作品はロストジェネレーションと言われていた時代、1920~30年代に生きていた芸術家たちの話ですけれど、先ほどゆみこさんもおっしゃったとおり、現在まで伝わるような芸術を生み出した方やダンスのステップを生み出した方がいて、お客様も今まで観てきた作品とつながるところが結構あると思うんですね。

ミュージカル好きや映画好きだったら「あの時代なんだ」とか、すごく詳しい方であれば「あの人の名前ね。分かる分かる」みたいな面白さもあるかもしれないです。そういうところも楽しんでいただきたいですね。

コール・ポーターの楽曲をお届けする舞台ですがただのコンサートではなく、出演者が縦横無尽に動いて踊って状況の高揚感を表現していたりするので、博品館劇場という近い密接な空間で、熱気みたいなものを楽しんでいただけたらと思います。

取材・文:咲田 真菜
撮影:川端 一生

【作品名】ミュージカル『Red Hot and COLE』
【翻訳・演出】小林香
【訳詞】高橋亜子 【音楽監督】岩崎廉 【振付】加賀谷一肇

【出演】屋良朝幸/
矢田悠祐 吉沢梨絵/彩乃かなみ 木内健人 真瀬はるか/彩吹真央・鈴木壮麻

【演奏】堀倉彰(キーボード) 深水洋(ドラム) 三枝俊治(ベース)

日程:2019年3月1日(金)~17日(日)
会場:銀座 博品館劇場
料金(全席指定・税込)
9,000円

公式ウェブサイトはこちら
https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2019/red_hot_and_cole/index.html

【チケットに関するお問合せ】
チケットスペース 03-3234-9999
【チケット取り扱い】
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0570-02-9999(Pコード:491-203)
http://w.pia.jp/t/rhac(チケットぴあ店舗、セブン-イレブンで直接販売)

ローソンチケット
0570-000-407(Lコード:32154)
https://l-tike.com/redhotandCOLE/(ローソン、ミニストップ店内Loppiで直接販売)

イープラス
https://eplus.jp/red_hot_cole/(ファミリーマート店内Famiポートで直接販売)

【大阪】2019年3月21日(木・祝) 森ノ宮ピロティホール
【静岡】2019年3月24日(日) 富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
【愛知】2019年3月27日(水) 刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール