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ルー大柴インタビュー『TOCTOCあなたと少しだけ違う癖』汚言症の紳士役に挑戦!

「トゥギャザーしようぜ!」とハイテンションでテレビCMに登場したルー大柴さんに強烈な印象を持った人も多いのではないだろうか。その後も英単語を交えて話をする「ルー語」が話題になるなど、独特のキャラクターを確立している。

ルー大柴さんが久しぶりに舞台出演する。2019年2月28日(木)から3月10日、東京・中野ザ・ポケットで上演される『TOCTOCあなたと少しだけ違う癖』で、汚言症のフランス人老紳士を演じる。

舞台稽古が始まって1週間、ルー大柴さんを稽古場に訪ねてお話を伺うことができた。今回の舞台への意気込みと2013年に師範となった茶道・遠州流について、時折ルーさんならではのジョークを交えながら語っていただいた。

 

 ――私はかつて妹と一緒にルー語みたいなことをやっていて、とてもルーさんに親近感を持っていました。今回面白そうな作品にルーさんが出演されるとのことで、興味津々に思っています。

じゃあ、ぜひ妹さんと一緒に舞台を観に来てほしいね。

 ――そうですね!(笑) 今回フランスのお話ですが、ルーさんがフランス人の役を演じるのって、とても合っているなと思いました。ご自分でどう思いますか?

40何年もこの世界にいると何度か舞台をやらせていただく機会があったけれど、若い時から外国の喜劇にすごく興味があって、かっこいいなとかおしゃれだなっていうのがあったの。

観た人が決めるものだから、今回のお芝居がおしゃれかどうかは分からないけど、小屋も100人~150人ぐらいのこじんまりとしたところだから広くないでしょ。お客さんが目の前にいる、そういうところで芝居をやりたいなと思っていたところに、60歳を過ぎてこの作品にめぐり合ったって感じだね。

共演者は基礎ができている文学座や元俳優座のそうそうたる役者さんなので、非常に頼りがいがあるから、私が中に入ってもなんとかやれるかなと思っています。

――汚言症の老紳士を演じられますが、汚言症という言葉を初めて知りました。役作りはどうなさっていますか?

とにかく大変ですよね、この芝居は。自分の意思と関係なく汚言って汚い言葉を使ったりするので、他の人が話しているところに、バーーンって言いますからね。人が話しているのを遮るときもあるし、突然怒鳴ったりもする。

――難しいですか?

簡単ではないと思いますよ。できる人は日本で3人ぐらいしかいないんじゃないかな(笑)。

――その3人のうちの一人がルーさんですね(笑)。今回はいろいろな患者さんが6人集まって起こる騒動ですね。

ドタバタもありますし、みんな病気持ちですからね。最初はお互いに敬遠しているんだけれど、待っている医者が来ないから、グループセラピーをして少しずつみんなで打ち解けていくんです。そこでせりふの応酬劇もあるんですけどね。

最後は「えっ!」という意外などんでん返しになります。

――今回集まってくる人たちの病気が、計算癖、確認強迫、過度の潔癖症、反復症、左右対称強迫症とのこと。93%の人が最低一つはこの中のどれかを持っているというのが妙に納得できました。

確かにそのとおりです。それをこうやって突き詰めてみると、大小あると思うけど、自分でもあるんじゃないかなと感じますね。

 ――ルーさんご自身はどれに近いと思いますか?

そうねえ……。やっぱり確認強迫ですかね。そういうの、あるよね?

――私も同じです。

バッグの中に入れたかな? とか、そういうのはあるよね。過去に誰でもあると思うんだけど、鍵を閉め忘れたと思って家に戻ることってあるでしょ。でもそういう時は必ず閉まっていたりする。ここに出てくる人ほどオーバーじゃないですけど、みんな持っているものだと思う。

――そういう方々のせりふの応酬劇っていうのは、迫力ありそうですね。

そうですね。まだ稽古が始まって1週間しか経っていないですけど、最初のスケジュールは4日間ぐらい本読みをして、それから立ち稽古ということだったけど、「本読み、1回でいいよ!」っていう感じになって。

どんどん立たないと覚えられないし、体を動かさないと……って言っていたら、信じられないんだけど、舞台監督が一夜にして仮のセットを作っちゃったのよ。

――すごい!

すごいでしょ。だいたい本番どおりの原寸でね。それで1幕から立ち稽古をやり始めましたけどね。役者さんの中には、前回やった方もいらっしゃるけど、みんな忘れているから大変ですけどね。

 ――いい雰囲気で稽古はできていますか?

そう! すごいいい雰囲気よ。

 ――ルーさんのブログに、稽古後イワシでパーティーをしたと書いてありましたね。

イワシ? 今日また持ってきたのよ。このカンパニーはね、わりとみんなで料理を作ったりするから。演出家が稽古を終えると率先して作り始めるんです(笑)。

私もいろいろなスタジオに行っているけど、稽古場にキッチンがあるというのはあまりなくて、みんなお腹がすいたら何か作って食べたりしてるのよ。稽古が終わったら、イワシで一杯やったりしてね。

――少し芝居の話からずれてしまいますが、ルーさんは遠州流の茶道の師範をお持ちで、茶道を始めて今年で13年目と伺いました。役者をしていく上で茶道は役に立っていますか?

やっぱりありますね。所作や形、座り、間の取り方とかは、役を演じることに似ているんじゃないですかね。

――私も数年茶道をやりましたが、無の状況にならないとできなかったということは覚えています。そういうところが役に立つのでしょうか?

役に立っていますね。最初はやっぱり全然分からなかったですけどね。「めんどくさいな」と思うじゃないですか、立ち居振る舞いとか。正座もそうなんだけど。

それがやっていくうちにだんだん面白みがでてきて「ああ、なるほどな」って。最初の頃とお茶に対する気持ちが変わりましたね。

――最近の若い人にはあまりなじみのない茶道ですが、どうしたら若い人に身近になるでしょうか?

若い人たちにもいろいろ事情がありますからね。正直、いろいろお金がかかりますし。でも遠州流では学生も来ていますし、師範とかそういうものじゃなくても、お点前を勉強するというのは1年でも2年でも面白いと思いますよ。

――ルーさんご自身は教えていらっしゃるんですか?

教えてはいないです。この間は将棋の対局の時に呼んでいただいて、お点前をしましたけどね。

――これからどんなお芝居をやっていきたいですか?

「こうあるべきだ」とか「こうしたい」っていうのは全然思っていない。今回のようにいい出会いがあれば、それでいいですからね。もう私も92歳ですからね。いや、1月で93か。(笑)

 ――93歳ですか! それにしてはお若いですよね(笑)。それでは今回の公演にかける意気込みをお願いします。

本番まで1カ月ちょっとありますからね。今のところ出来上がりは早いと思っていますけど、これから細かくやっていくと思います。

――最後にルー語で一言お願いいたします。

久しぶりにステージに出るんで if you like、私をlookしに来てください。そしてtogetherしてください。

――Together! それが聞きたかったです!

そう? ありがとう。

取材・文:秋乃 麻桔
撮影:尾中 力也

公演名:NLTプロデュース『TOCTOCあなたと少しだけ違う癖』

作:ローラン・バフィ
翻訳・演出:山上優
出演:ルー大柴 近童弐吉 中村まり子 山崎美貴 井上薫 永栄正顕 永井美羽

公演日程:2019年2月28日(木)~3月10日(日)
会場:中野ザ・ポケット
東京都中野区中野3-22-8
JR中央・総武線/東京メトロ東西線 中野南口より徒歩7分。

劇場ロビーTEL03-3382-1560(公演期間中のみ)
劇場事務所(11:00~22:00)TEL03-3381-8422
チケット料金:全席指定 前売り4,500円 当日5,000円 学割 3,000円

各種プレイガイド情報
■NLTオンライン
http://www.cnplayguide.com/asp/evt/evtdtl.aspx?ecd=NLT40011

■NLT電話予約(学割のみ)        TEL= 03-5363-6048

■チケットぴあ
TEL= 0570-02-9999[Pコード:491-365]
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1858718&rlsCd=001&lotRlsCd=

■イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/2815860001-P0030001?P1=0163

■カンフェティ
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=50009&

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