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父母姉僕弟君

photo 2012年初演「父母姉僕弟君」

5年経ったいま亀島一徳、島田桃子の心境とは。2017年11月、ロロ「父母姉僕弟君」再演。

俳優をやろうと思ったきっかけを聞かせていただけますか。

亀島 僕もモモコ(島田桃子)も日芸(日本大学芸術学部)出身で、演劇学科には俳優コース、演出コース、劇作コース、企画制作コースとかいろいろあるんですが、僕もモモコも俳優コースではなく、僕が演出コースでモモコが企画制作コースだったんですよね。

だから、実は大学入るまでは演劇を見たことなかったんです。俳優やろうと日芸に入ったわけでもなくて、世代的に僕らって宮藤官九郎さんのドラマ「木更津キャッツアイ」や「池袋ウエストゲートパーク」や映画を見て育った世代だったので、高校卒業して大学行こうかなって時に、宮藤官九郎さんが行ってたところに行こう!って、ただそれだけでしたね。
当時は演劇も見たこともなかったから、そこで何やりたいとかも特になかったんですが、官九郎さんは日芸で演劇をやってるらしい、と。(宮藤官九郎さんは放送学科であった。)
本当に馬鹿みたいな理由なんですが、それなら僕も演劇やってみよう。ただそれだけでした。

それから、大学へ入って、一番最初の授業の発表みたいなので演出助手をやっていたんです。それからなぜか代役させられて、先生にそのまま出なよって言われてから、演技をやり始めるようになりました。
そんなふとしたきっかけで、俳優って楽しいかもな。って考え始めたんですよね。

島田 私の場合は、小さい頃から踊りをやっていて、中高生の時にミュージカルやシェイクスピアをやったりしていたので、とりあえず演劇学科に入ろうと思ってました。

5年経ったいま亀島一徳、島田桃子の心境とは。2017年11月、ロロ「父母姉僕弟君」再演。

左から亀島一徳、島田桃子

初演の「父母姉僕弟君」から5年経ち、心境の変化があったり。

島田 初演は稽古して作りながらだったので公演初日でやっと完成した。だから自分が本当に何をやってるかわかったのが、本番開けてからだったんです。
当時は、タスクを無我夢中でやるっていうので一杯一杯だったんですけど、今回はもう、全部どういうものかをわかったうえでやるから、それがすごい難しく感じています。

亀島 ロロは、新作だと出来あがりが結構ギリギリになりがちだったりはするんで、途中や終わった後に、あそこはあー出来たかもなと、ふと思ったりする。
まだチャレンジできる余地や伸びしろというか、頑張りしろ、こだわりしろがあった感じがする作品が多くて、今回の「父母姉僕弟君」もその一つでした。
5年を経て歳を重ねて、今ならこうはやらないなとかもある。それは三浦君(ロロ主宰・脚本・演出家)自身もあると思うし、今ならあんな風にはやらないかもな、というところを今ならブラッシュアップしてできる。そう思います。

「父母姉僕弟君」での役と、普段の自分と。ありのままで。

島田 実は役になりきるというのが得意な方ではなくて、わりと自分本来の持ち味をそのままナチュラルにありのままでやる方が得意だと思っています。
いかに、しっかりと自分に腑に落としてやるかっていうので、なので観ていただいた方にも「普段の島田さんと一緒だったね。」って言われこともあって、あんまり俳優としてよくないかもしれないんですが、そのようにやってきています。

亀島 僕も同じでどの作品でも「やっぱり亀ちゃんだね」って言われるから、そのスタイルはすごく似ているかもしれない。僕たちは、たぶん上手に別人になれるタイプではないんですよね。

通し稽古中の亀島と島田

通し稽古中の亀島と島田

島田 そういえば、5年前に亀さんと三浦さんと私で稽古していた時に、モノマネをリクエストされたんですが、私も亀さんもモノマネできなくて。
特に私は恥ずかしがり屋なので、当時その「ローラだよ」が流行ってたんですが、そういうのが恥ずかしくて出来なかったんです。
なのに亀さんは、いつの間にかモノマネが出来るようになっていて...。(笑)

亀島 いや、いや、勘弁してよ...(笑)

島田 さっきの「We Are The World(USA for Africa)」のボブ・ディラン...。

亀島 あれは結局好きかどうかですよ。僕は、ライオネル・リッチーてこうだよなーって、普段思ったことなかったけど、ディランは昔から本当に好きだから、ディランってこうだよな、っていうのがあるの。

島田 あれも亀さんのフィルターを通した、ディランだなって感じです。すごい表情も好きでした。

これからもロロと一緒に成長して、続けていけるように。

亀島 具体的なこんなステージでやりたいとかはないんですが、それが、プレイハウスで常にできることがロロを続けられることなのかもしれない。
とにかく、続けていくモチベーションが必要。今のままだとダメで、もっと成長しないといけない。その成長の仕方はひとつじゃなくてもいいかなと思っています。だから、全国ツアー回っていける規模感にもしたいですし、もちろん知名度もあげて、もっと売れていかないといけません。

島田 私も俳優を続ける以上、絶対ロロありきの人間ですね。
今年に入ってからは、ミュージシャンの方とか、演劇の畑じゃない人と作品づくりが出来ることが私にとってはとても嬉しい出来事です。
例えば映画だったり、芝居以外でももっと分母が増やして、そのぶんたくさんのお客さまに触れてもらえるやり方で、これからもっと作品が作っていきたいです。もっともっと領域を広げてやっていけると、楽にもなるし、楽しくもなるのではないのかなって思ってます。

5年前と比べて成長した僕らで鮮度をもってやれている。

島田 曽我部さんの曲が本当に素晴らしくて、わかりやすいのでぜひ聴いて欲しいです。

亀島 同感です。あと今回は伊賀(衣装)さんのスタイリングもとても素敵です。5年前だとできなかったことで、様々なジャンルの方たちから影響されてきて一緒に歩んできたメンバーと一緒にやれている。5年前と比べて成長した僕らで鮮度をもってやれていると思います。

島田 本当に作り直すのが大変でした。だから、そのぶん自信はあるし、期待して観にきていただきたいです。

亀島 11月2日から12日までシアターサンモールでお待ちしています!

キッド役 亀島一徳

キッド役 亀島一徳

天球役 島田桃子

天球役 島田桃子

​ロロのボーイミーツガール集大成、「父母姉僕弟君」待望の再演!!

2009年の旗揚げ以来、漫画・アニメ・小説・音楽・映画などジャンルを越えたカルチャーをパッチワークのように紡ぎ合わせていく作風で、小劇場シーンの「恐るべき子どもたち」として注目を集めてきた劇団「ロロ」の三浦直之。
「ボーイ・ミーツ・ガール」をテーマに、他者との出会いと別れを描き続けるポップで切ない作品群は、演劇にとどまらず、映画やテレビドラマなどにも姿を変え、そのキラキラとした輝きを放ってきた。

2012年にロロ8本目の本公演として初演された『父母姉僕弟君』は、王子小劇場2012年度佐藤佐吉賞において、最優秀主演女優賞・優秀作品賞・優秀主演男優賞・優秀照明賞・優秀音響賞・優秀衣装賞を受賞。
妻を亡くした男は、妻との思い出の地を目指して旅をする道中、奇天烈キャラクターたちと出会ったり別れたりを繰り返し、家族をつくっていく。
忘れたくないのにどうしても忘れてしまう、記憶の中の妻を思い出しながら、約束の場所を目指す。

三浦直之が描く、ちょっとヘンテコな家族のかたちとボーイ・ミーツ・ガールが、キティエンターテインメントプロデュース公演として、この秋新たに蘇える!

美術|中村友美
照明|富山貴之
音響|池田野歩
舞台監督|鳥養友美
演出助手|中村未希(恥骨)
デザイン|佐々木俊
制作助手|田中亜実(劇団女体盛り) 奥山三代都(ロロ)
制作協力|宮永琢生(ままごと/ZuQnZ)
アシスタントプロデューサー|坂本もも(ロロ/範宙遊泳)
ゼネラルプロデューサー|永田悦久(キティエンターテインメント)
プロデューサー|多賀英典(キティエンターテインメント)

協力|ロロ コムレイド écru 青年団 レトル ワワフラミンゴ 中野成樹+フランケンズ
ROSE RECORD 恥骨 劇団女体盛り ままごと ZuQnZ 範宙遊泳 森下スタジオ ローソンチケット

助成|公益財団法人セゾン文化財団
企画制作・主催|(株)キティエンターテインメント

公式サイト:https://www.llo88oll-kitty.com/
ロロ公式サイト:http://lolowebsite.sub.jp/