左:女優 榎並 夕起(エナミ ユキ)
1994年12月16日(23歳)東京都生まれ。都内女子高の演劇部にて演劇活動を開始。高校在学中から数々の小劇場の演劇公演に参加。アガリスクには当時高校3年生で『ナイゲン(2012年版)』に初出演し、以降『ナイゲン(2013年版)(全国版)』『時をかける稽古場』『わが家の最終的解決』に出演。また、自主映画やバンド・歌手のMVでの主演作も多数。また本人もギターを嗜み、23歳にしてキャリア9年でけっこう弾ける。
右:喜劇作家・演出家 冨坂 友(トミサカ ユウ)
1985年5月13日(32歳)千葉県生まれ。アガリスクエンターテイメント主宰。2014年度サンモールスタジオ最優秀演出賞、黄金のコメディフェスティバル2014最優秀脚本賞、黄金のコメディフェスティバル2015最優秀脚本賞など数々の賞を受賞。
喜劇作家として右に出るものもいない冨坂氏と、可憐な容姿で誰もが認める「美少女」ポジションを担いつつ、それを笑いに変えるスキルも併せ持つ榎並 夕起氏。4,000字超えのロングインタビューで23歳を迎えたいま、最も弾けまくっている榎並氏と冨坂氏の想いに迫りました。
演劇に触れたきっかけとは。
- 1万人を超える集客を誇る国府台高校の文化祭
冨坂 小学生ぐらいの時から三谷幸喜さんのドラマとか、映画の「ラヂオの時間」が好きで見ていたんです。それと同じ頃から兄が通っている国府台高校(千葉県立国府台高等学校)にの文化祭に遊びに行ってたんですよ。
そこは、文化祭の時に3年生全クラスが1クラスが1劇団になって、各教室を舞台にして演劇を行っていて。8クラスあったら廊下に8つの劇場が並んでる、みたいな。それに憧れて国府台高校に通う事になったのが「演劇」との出会いでした。
(国府台高校の文化祭は、クラス演劇のレベルの高さから、かつてNHKで特集されたこともあるほど。)
だから、最初はいまのように脚本や演出をやろうと思っていた訳ではなく、あくまで演者としてキャリアをスタートしました。
でも、三谷幸喜さんの芝居が好きだったりもあったんで、上演許可は出してくれないですが、何とかして文化祭でできないかなーとか、置き換えてできないかなーとか考えたりしてた時期がありましたね。
- 2005年12月、自ら劇団を旗揚げ。
冨坂 それから、文化祭では結局違う作品をやって、卒業して、大学に行きながらわりとモヤモヤしてた時、もういっそ自分で劇団を作って、自分のやりたいコメディーを作ってみよう、と思い立ちました。結構な思い切りだったんですが、もうやるしかないと思って。それで根性論だけでやってたら、もう12年経ちましたね。
もともと僕は、ストーリーが書きたくて始めたっていうだけじゃなくて、笑いを取ることもしたかったし、高校の時に文化祭とか卒業式の運営をやっていて、イベントを作ったりもしたい。その3つを同時にできるのが、自分でコメディの演劇の興行を打つことだったんです。
当時、高校生の榎並氏とアガリスクエンターテイメント
- 2012年、高校生だった。
榎並 中学時代から演劇部で活動をしていたんです。中高一貫の演劇部だったんですが、高校一年生を終える頃に演劇部の活動だけじゃちょっと物足りなくなり始めたんです。もっと大きなステージでいろんな方とやりたいな、って。最初は、オーディションサイトみたいなやつを見て片っ端から受けて、受かったところに出させてもらってみたいな感じで始めました。
冨坂 高校生がいきなりオーディションに来たら、たぶん劇団やってる側としてはビビるよね。どう扱っていいのかわからないし(笑)。
榎並 そうですよね(笑)。実際、年齢で引っかかることも多くて、、、。(募集要項が活動時間の関係で18歳以上という事が多い。)
アガリスクエンターテイメントも最初18歳以上って書いてあったんですけど、ダメもとで応募したら、受け入れていただけたんです。
冨坂 当時、高校生の会議の群像劇(代表作「ナイゲン」)をやる時に、我々も今よりは比較的若かったのですが、飛び抜けて若い女優というのはいなかったんですよね。だから「若い!」「一人本物がいると説得力が増す!」「欲しい!」って思って出てもらいました。
榎並 本当にありがたいお話で、それから5年が経ち、昨年に正式に劇団に加入しました。
- それから23歳になった心境。
榎並 私、普段から精神年齢がすごく子供なので、人のせいにしないとか、そういう基本的なところから大人になっていきたいですね。
あとは、恥ずかしい気持ちが高校生の時より出てきたように思うんですよ。例えば、「わー!」って叫ぶことも、高校生の時は躊躇なくできてたのが、出来なくなって。ただ、次の舞台は、主演のいい役をいただいたので、もう迷わず、やりたいことをやれるうちにやろうと決めました。
- 榎並氏を主演に抜擢した理由と、彼女の魅力。
冨坂 例えば、小劇場でメディアとかにあんまり出ないでやってる俳優の中ではあんまりいないタイプなんですよね。見た目がよかったり、年齢が若かったり、声にヒロインっぽさが出てきた。同じような領域で活動している人の中ではずば抜けてるんじゃないですかね。
その反面、色々どうにかしきゃいけない部分もありつつ、、、。(笑)
榎並 苦笑...。
冨坂 なので「若くて可愛い子」として登場させてもお客さんに許してもらえるところがアドバンテージですかね(笑)
で、今回は「卒業式での国旗・国家」なんていう、とっつきづらい内容なので、そのぶん主人公を「恋する女子高生」ぐらいポップで可愛らしい存在にしようと思って。だから榎並夕起を主人公にしたし、チラシのビジュアルも彼女にしました。
- 冨坂氏の印象とは。
榎並 当時出会ったのが高校2年。その時は、冨坂さん含めメンバー全員怖かったです。
1対1でお話するのが怖くて、質問にもいけなかったですね。ごめんなさい。(笑)
冨坂 それは稽古してんだから、聞きに来いやって話になるけどね。(笑)
榎並 ほんとギリギリになって「ここってこれでいいんですか?」って聞きに行く感じだったんですよ。
やりたいこととか、自分たちが面白いって思ったものに対して、まっすぐ突き進んでいく感じ?というか、突き詰めてやる感じに圧倒されてました。
そういったコメディに対する姿勢みたいなものに「あ、すごい、見習わなきゃな」って思います。
でも、まだほかの劇団員より話せないです。(笑)
冨坂 ほかのメンバーの場合、友達とか同期でなくても同期みたいな感覚だったり、家族の誰かぐらいのポジションの人も結構いるんですけど、なんか榎並夕起だけ、なんか先生と生徒みたいな感じになっちゃうんですよ。
どうなんだろうね?なんか、あんまりよろしくないような気がしてるんですが。
榎並 たぶん年齢差がそうさせるのか、教えてもらうっていう意識が私の中に強いからかもしれないです。これを機会に「先生と生徒」から「妹」ぐらいになりたいですね。(笑)
冨坂 妹て。(笑)
一石三鳥。舞台興行を打つ理由。
- ライブ感を劇場一体で味わう、コメディーの魅力。
榎並 特にコメディーって、生で反応が跳ね返ってくる。それでいて、毎回違うものが生まれてというところが映像と違うところだなぁと思います。映像だと繋げて作品にするじゃないですか。もちろん映像も楽しいし勉強になることがたくさんあるんですけど、舞台はステージごとにほんとに違う感情とか感覚が生まれるんですよ。
一本2時間繋げてできるっていう、みんなで作り上げているという感じが好きだなぁ、と思います。
冨坂 僕は、元々ストーリーが書きたくて始めたっていうわけじゃなくて、笑いを取ることがしたかった。高校の時の文化祭とか、卒業式とかの運営とかを実はやっていたし、イベントを作ったりもしていたい。その3つを同時にできるのが、自分で演劇の興行を打つことだったんです。
それでいて、目の前でやるのはやっぱりコメディーが一番ウケる。
お笑い芸人さんのネタをテレビで観るのも面白いけど、劇場で観ると勢い自体がものすごく面白かったりとか。
あと、舞台の醍醐味が詳しくない人にもダイレクトに分かるのって暗転挟まないワンシチュエーションのコメディーが一番生で観てる感を味わいやすいジャンルだと思うんですよ。
もちろん真面目なシリアスな繊細な会話劇とかでも、目の前でやってることの醍醐味ってあると思うんです。思うんですけど、舞台見慣れないお客さんにとっては中々そこまでの繊細なところとかって気付くかっていうと、正直わかんないんですよね。
コメディーを選ぶ理由は、隣の人と自分とが同じものを見て一緒に笑ったりとか、そのライブ感を一番味わいやすいジャンルであって、舞台で魅力ですね。
アガリスクエンターテイメント第25回公演『卒業式、実行』
冨坂 実は2015年に「紅白旗合戦」という似たような題材でコメディーを作ったことがあったんですね。卒業式で国旗とか国歌とかの取扱いをどうするかで先生と生徒が揉めるっていう話なんで、気に入ってくださってる方やお褒めの言葉もたくさんいただいたんですが、僕としてはあんまりコメディーっぽくなかったな、っていう反省が実はあったんですよね。そこをどうにかリベンジしたいなっていう想い。
あとは、舞台裏のドタバタを描く「バックステージコメディ」っていうジャンルがあるんですが、いつかそれをやってみたいなって思っていたんです。それで「卒業式の舞台裏」ってバックステージコメディの設定としていけるな、と思いました。それがちょうど1年半前ぐらい前なので、そう考えると構想自体は長かったりしますね。
実は、それを思いついた時と榎並夕起を劇団員に誘った時ってだいたい同じタイミングでして。もし実現させるんなら主人公は榎並にやってもらおうかな、というのもあって劇団に誘ったんです。
榎並 劇団入る時に冨坂さんにその話をされたんですけど、実はそのちょっと前に冨坂さんがTwitterでその構想を呟いてる時に、それを見ながら「この話をやるなら主人公は私がやりたい」と思ってたんです。
今までのアガリスクエンターテイメントの作品で、私がかつて担ったことのない主演というポジションだし、見せたことのない顔もたくさんお見せできるんじゃないかな。
冨坂 卒業式の国旗と国歌について揉める話をコメディにするという、取っ付きづらい題材を使いつつ、ただのコメディにするっていうことをひたすら考えたので、あまり敬遠せずに見に来て下さい。ただのコメディとして観に来ていただいて大丈夫ですけど、この題材に興味があるって人はその目線で見ていただいても楽しめるように作ってます。
たぶんこの題材とこの感じのコメディでやるところって今までにないと思います。「史上初、卒業式の舞台裏のコメディ」ということで。
って、もうあんまりこれ以上話すとあれだから、詳しくは劇場で!!(笑)
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卒業式での国旗・国歌問題を背景にした
異色のバックステージコメディ、ついに開幕!
校内、紛糾。
交渉、決裂。
そして迎える式当日…!
3月8日朝、卒業式実行委員長・榎並夕起は頭を抱えていた。
自主自律を重んじ、卒業式の企画・運営も生徒が主体となって行ってきた国府台高校に、
突如降ってきた「卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱問題」。
職務命令のために実施しなければならない教員側と、自治のために反対する生徒側。
政治思想も巻き込んで、校内世論は真っ二つ。解決のための協議も決裂。
どちらのプログラムで式を執り行うのか、決まらないまま式当日を迎えてしまったのだ。
校門前には街宣車。火花を散らす生徒と教師。介入してくる保護者にOB。
果たして卒業式実行委員は無事に式を遂行することができるのか!?
委員長は憧れの先輩の卒業式を成功させることができるのか!?
ーーーそして、開式の時間がやってきた。
日程
2018年2月17日(土)〜2月25日(日)
会場
サンモールスタジオ(東京都新宿区新宿1丁目19−10)
脚本・演出
冨坂友
出演
淺越岳人
榎並夕起
鹿島ゆきこ
熊谷有芳
甲田守
沈ゆうこ
津和野諒
前田友里子
矢吹ジャンプ(ファルスシアター)
(以上、アガリスクエンターテイメント)
星秀美(レティクル東京座)
前田綾香(トツゲキ倶楽部)
山岡三四郎(ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン)
斉藤コータ(コメディユニット磯川家)
藤田慶輔(EFFECT)
中田顕史郎
料金
富豪席:6,000円(上演台本、舞台写真、良席確保などの特典付)
一般料金:3,800円(●回)
前半料金:3,300円(★回)
高校生料金:500円(高校生以下※要生徒手帳提示)
割引
リピーター割引:1,000円引(要半券提示)
大貧民割引:1,000円キャッシュバック(要1月17日までの事前精算)
貧民割引:500円引き(要予約)
旅割引:1,000円引き(要住所提示)
タイムテーブル
2月17日(土)14:00★/19:30★
2月18日(日)13:00★/18:00★
2月19日(月)19:30
2月20日(火)19:30
2月21日(水)14:00/19:30
2月22日(木)19:30
2月23日(金)14:00/19:30
2月24日(土)13:00/18:00
2月25日(日)13:00/17:00
公式ウェブサイト:http://sotsujitsu.agarisk.com/