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凰稀かなめ

『暗くなるまで待って』盲目の女性スージーを演じる凰稀かなめインタビュー!

 

1966年にブロードウェーで初演、1967年にはオードリー・ヘプバーン主演で映画化された名作『暗くなるまで待って』。日本でも何度か舞台化されている作品が、2019年1月25日(金)から2月3日(日)にかけて東京・サンシャイン劇場で上演され、その後兵庫、名古屋、福岡公演が行われる。

物語の軸となる盲目の女性スージーを演じるのは、元宝塚宙組トップスター凰稀かなめさん。宝塚を退団してからも積極的に舞台出演し、昨年末に文化庁芸術祭演劇部門(関西)で新人賞を受賞した。舞台人として勢いのある凰稀さんに、『暗くなるまで待って』の稽古場で、お話を伺うことができた。

 ――まずは文化庁芸術祭演劇部門(関西)新人賞受賞おめでとうございます。受賞が決まった時の気持ちをお聞かせください。

ありがとうございます。まさかいただけるなんて思っていなかったので、「おう!」って感じでした(笑)。

――舞台『さよならチャーリー』の演技が評価されたということですね。

そうですね。芸術祭にエントリーしているということは聞いていたので、何か賞は取りたいという気持ちでいました。気合いは十分でしたね。

エントリーされるだけでも奇跡的なことだと思うんですけど、新人賞は1回しかもらえないということなので、すごいなあと思って。国から表彰をされるなんて思ってもいなかったので、いい親孝行ができました(笑)。

――『さよならチャーリー』に続いて『暗くなるまで待って』もストレートプレイです。前回はコメディーですが、今回は真逆のサスペンス物。稽古が始まっていかがですか?

今までサスペンス物をやったことがなかったので、本当に初めてなんですよ。今、サスペンスの作り方をこのお稽古場で学ばせてもらっています。

盲目の女性を舞台上でどう演じるかというのが、実は悩みがすごく多くて。この作品自体、舞台上での動きが多いんですよ。「目、見えてるよね」という動きを今やってしまっているので、自分の映像を見ながら研究して、どう解消していくか考えています。でも作品の流れを遅くすることもできないですし、そうすることによってサスペンス感がなくなってしまうので研究中です。

凰稀かなめ

――この作品は映画化されていますが、ご覧になりましたか?

あえて見ていないです。私、1回見たらすぐに覚えてしまうんですよ。映像、出演している方の芝居、声やセリフの強弱とか抑揚などが全部インプットされちゃうので、見ないようにしています。

――1回で覚えてしまうなんてすごい! 

影響されちゃうから、基本的に見ないようにしているんです。まずは稽古場で感じる心が動くものを自分自身で作り上げて、そのあとで見てもいいかなとは思っていますがそこに至るまでは見ません。

――それはこの作品に限らず、宝塚時代からそうだったんですか?

そうですね。先輩方のやり方は勉強になりますし、素晴らしいものだというのは分かっているんです。でもまずは自分流を作り上げたいので、先生とセッションして作り上げた上で先輩方がやってきたものと比べて、「ここはこういう風に見せたほうがお客様に伝わるな」と客観的に見ます。でも今回の作品は、まだその段階までいっていないですね。

――今は苦しんでいる最中でしょうか?

毎回言っているんですけど、こんなに苦しいお稽古は初めてかも(笑)。

目が見えない役なので、すごく神経質になっているのかもしれません。最近は日常生活でも感情の起伏が激しくなってきて「キーーー!」ってなったと思ったら「シュン」となったりしています。でも私はそれが正解だと思っています。

もともと私自身は結構普通で、感情の起伏があまりないほうなんです。舞台上でしか起きないことが日常生活で起きているということは、ある意味私の中でちょっとずつ変わってきているんだろうなと思います。

凰稀かなめ

――共演されるロート役の加藤和樹さんは、以前ミュージカルの舞台で共演されていますが、印象はいかがですか?

『1789-バスティーユの恋人たち』ではあまりからみがなかったので、細かく加藤くんとお芝居のことを話した記憶はないんです。ただ舞台袖で芝居されているところはずっと見ていたので、加藤くんがどういう風に演じるかというのは、だいたい分かっている感じでした。ただ、意外にからみがないんですよ。

――え! そうなんですか!

そうなんですよ。最後はガッツリからみますけど、そこに至るまでは意外になくて、たぶんお客様も「あれ? 意外にからんでないじゃん」って思うのではないでしょうか。一番からんでいるのは、マイク役の高橋光臣さんですね。

――マイクを間に入れて、ロートがからんでくるという感じでしょうか。

結局ロートは悪党3人組のリーダー的な存在で、一緒に組んでいるマイクとクロ―カー(猪塚健太)を操っているんですよね。

物語では私の夫のサム(松田悟志)が家に持ち帰った、麻薬が仕込まれた人形を奪おうとロートたちがあの手この手でスージーに近づくのですが、その中で加藤くんはいろいろな役を演じます、ロートが同一人物だと気づくまで、スージーが少しずつ変化をしていくところも見どころです。

――スージーが変化していく様を表現するのも難しそうですね。

夫のサムが言っていることと3人が言っていることが違うので、そこでスージーは困惑します。マイクのことも最初は信じてしまうのですが、結局はロートの仲間ですし。スージーが変化していく様子が果たしてお客様に伝わるかどうか、まだ計算できていないですね。

変化していく様を表現する時に、あまり動いてしまうと目が見えている感じになってしまうので、本当はあまり動きたくないんです。でも舞台だから動かなければいけないし、そこで「キーーー!」となってしまいますね(笑)。

凰稀かなめ

――「キーーー!」となりながら作り上げている舞台だからこそ、ファンに「ここは見て欲しいな」と思うところはありますか?

この作品はサスペンスといえども、その中の人間模様が素敵なんです。スージーとサムの夫婦愛、日常的な夫婦の愛の形をサムが出してくれるので、唯一ほんわかできます。

夫婦の愛がありつつ、グローリアとの人間関係の変化も面白いです。最初スージーはグローリアのことを毛嫌いしているんです。目の見えないスージーのことをグローリアは手伝ってくれるけど、スージーの決めたとおりにやってくれないグローリアにちょっとイライラしているわけです。でも毛嫌いしている状態から少しずつ距離が縮んでいって、最終的には一番頼りになる存在になります。友情ではないですけど、そういうものが芽生えていく瞬間があるんです。

またマイクとスージーの関係も、今までの舞台では「二人の間に恋愛感情が生まれているのかな?」と思わせる演出だったようですが、今回は違った解釈になっています。

あとは最後の加藤くんとの真っ暗闇での対決ですね。

――加藤さんの悪党ぶりはどうですか?

悪い顔をしてますよー(笑)。加藤くんって人が優しいというかすごく真面目ですから、今回意外な顔を見させてもらっている感じです。でも悪い顔っていったら、小物になっちゃうかな……。どちらかというと「無」ですね。無って一番怖いじゃないですか。

最後は、髪の毛をわーっと引っ張られたりして、相当私もいたぶられます(笑)。そこは自由にやってと言っているので、暗闇ですが本気でやることになっています。客席全体がスージーになったかのような感覚に陥ると思います。

――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

いつも応援ありがとうございます。本当に今回は初めてづくしで、かなりテンパっている状態なんですけど、皆さんに恐怖、愛情などいろいろなものを感じていただける舞台になっていると思います。

またスージーやロートなど、いろいろな目線で見ることができる舞台になっています。1回目と2回目ではまた違う舞台に感じることができると思いますので、時間が許せば何回も観に来ていただきたいです。

――初日と千秋楽に行くと、全然違ったものが観られそうですね。

いえ、初日、中日、千秋楽ですよ!(笑)。毎日同じ舞台にするつもりはないです!

凰稀かなめ

取材・文:秋乃 麻桔
撮影:友澤 綾乃

公演名:『暗くなるまで待って』
作:フレデリック・ノット
訳:平田綾子
演出:深作健太

出演:加藤和樹 凰稀かなめ 高橋光臣 猪塚健太 松田悟志
黒澤美澪奈 九内健太 橋谷拓玖

公演日程:2019年1月25日(金)~2月3日(日)
会場:サンシャイン劇場
料金:8,800円(全席指定・税込)※未就学児入場不可

各種プレイガイド情報

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